

FAQ
よくある質問
ラファエルでは大きく分けて6工程からブラシを製造しています。
1. ヘアードレッシングヘアードレッシングとは、ブラシ作りの工程で最も重要な作業として知られています。ラファエルでは原毛の調達、加工を自社で行い、毛質の善し悪しを決めるドレッシング加工において世界に誇る技術を持っており、未だに伝統的な方法でドレッシング加工を全て行っている数少ないメーカーです。この作業で3つの障害(短すぎる毛、長すぎる毛、逆毛)がブラシの形をだめにしてしまう大きな原因となります。短すぎる毛や逆毛があるため穂先が二つに割れたり、抜け毛の原因にもなります。 ラファエルでは“ヘアードレッサー”(ドレッシング職人)が“ブラシメーカー”(ブラシ職人)に完璧な毛束を渡すため時間を惜しまず作業をするよう指示されています。
例えば、ブラシ職人が毛束を気に入らない場合、その毛束はドレッシング職人の元に戻され、両職人は共に協力し、また妥協のないブラシ作りを目指しています。 この工程では原毛を優しく丁寧に洗い(除菌)、まっすぐに伸ばすため適度の油分を残し乾燥させます。次にカップの中の毛を何度も叩いた後、毛束をカップから取り出し扇の形に広げ、梳かすという工程によって、短い毛を取り除きます。長い毛は毛束を閉じた後にピンセットで除去します。毛束が十分にキレイになるまで、この作業が繰り返し行われます。この時ドレッシング職人は軽く毛束をにぎり、毛の色の違いで逆毛を見つけ出します。 最後の過程は、拡大鏡の下で先程の作業を繰り返します。このようにして、ブラシを組み立てる前に完璧な毛束が作られます。
2. ブラシの束の製造次に、ヘアードレッサー(ドレッシング職人)がドレッシング作業を終えた毛束をブラシ職人に渡します。ブラシ職人は毛束をほどいてテーブルの上に平たく一列に並べた後、各サイズに必要な定量を取ります。これは6年から8年トレーニング(修行)したブラシ職人のみできる見事な職人技です。 取り出された的確な毛量を十分に広いカップの中で一回叩き、次に直径または口金の首と全く同じ小さいカップに入れます。その中で毛束を糸で2度結びにし、余った糸は切ります。 そして、カップから毛束は取り出され、毛先を一切カットせず指を使って穂先の形を作ります。この作業は穂先の形を作る上で最も重要な作業で熟練した職人技が必要とされます。毛束の底(毛先の反対側)のわずかに余った毛をまっすぐに刈り取ります。 毛束は口金の首(円すい状の口金の幅が広い側)から差し込まれ、定規で正確に測りながら毛先の長さを調節します。 平筆とフィルバートの場合、特別なペンチで口金を平らにします。この時口金の幅を調整し、また余分な長い毛は取り除かれます。そして口金を逆さまにして、穴が開いた金属の板に並べ、次の接着作業に向けて準備が整います。
3. 毛束と口金の接着作業
4. テスト
最高品質のブラシをご提供するため、最後の検品処理が施されます。拡大鏡を使用しブラシの穂先と口金部分のテストを行います。初めに乾いた状態の穂先をチェックし、次に穂先の形状が均整であるかを確認します。もし長い毛や逆毛が飛び出ていたら、ハンドルと組み立てる前に修正されます。 口金が個々にチェック・検品されている間に、ハンドル部分が準備されます。
5. ハンドルの製造
木の幹は板材に加工される前に数ヶ月乾燥され、四角い長い棒状から円柱に加工されます。ラファエルでは釘または穴ではめ込むホールディング板にハンドルを打ち付け固定し、ハンドルの色となる塗料が入っている樽につけます。ハンドルを樽から目で確認出来ない速度でゆっくりと上げ、色がポタポタ落ちないよう、また平均に塗装できるようゆっくり作業します。ハンドルがはめ込まれている板は乾燥され、この作業を大体4回ほど繰り返します。その後にホットスタンプの機械で刻印、またはブラシと口金がかしめられた後にシルクスクリーンで刻印します。スタイルや刻印の形・サイズによってどちらかの方法になります。 ハンドルは組み立ての前に刻印がある、ないに関わらず一本一本まっすぐかどうかテーブルの上で転がしてチェック・検品されます。
6. 口金とハンドルの挿入、刻印、かしめ
ラファエルのブラシは種類、用途に応じて毛質を厳選し、ベテラン職人により毛先を一切カットせず1本1本手作りで作られています。 創業以来、210年以上もの歴史の中で培ってきた知識と技術、ネットワークにより、ラファエルでしか出来ない原毛の調達、加工システムがあります。 原毛の加工は自社で行い、毛質の善し悪しを決めるドレッシング加工では世界に誇る技術を持っています。 ラファエルはヨーロッパの絵画の歴史と共に歩んで参りました。 その為、ヨーロッパの絵画(油絵、水彩画)で多く使われているコリンスキー、赤テン,またリス全般を得意とし、それらは主に高級絵画ブラシ、メイクブラシに使用されています。ブラシの毛質を大別しますと硬毛と軟毛の2種類に分かれ、ブタ毛のみが硬毛とされ、毛の先端が枝毛になっており、さらに独特のカール状になっています。 メイクブラシに使われる原毛は全て毛先を最も重要視し、決して毛先をカットすることはいたしません。 そこがペンキ用ハケ類、歯ブラシ、タワシ等と異なる点で、穂先の重要性の有無に大きな差があります。
硬毛のブタ毛や、軟毛(ブタ以外のすべての毛質)のコリンスキー、赤テン、パーミー、ジャコウネコ、牛耳毛、リス、アナグマ、マングース、ポニー、ヤギ、ラクーン、etc 多くの種類が使われます。
●Canadian Squirrel / カナダリス
毛先が繊細で揃いが良く適度なコシもありアイシャドウに多く使われています。ファーストクラス、セカンドクラス、イミテーションと数種類存在し、ファーストクラスになると供給が安定しておらず入手困難な希少な毛でとても高価です。 毛先の膨らみが少なくシャープにラインが入れることができ、キレイにグラデーションが作れます。
●Blue Squirrel / ブルーリス
パウダーブラシ、チークブラシ等の大きいブラシに適し、非常に柔らかいのが特徴です。度々、灰リスと混同されがちですが灰リスよりも繊細で柔らかく、高価なのが特徴です。また灰リスほど紫外線に弱く無く、静電気も帯びにくい為、毛先の広がりが少ないです。 日本では比較的入手困難な毛です。 高価な水彩画筆にも使用されています。
●Kazan Squirrel / カザンリス
カザンリスの毛質はシベリア地方のものが最適で、ヤクーツク(ロシア北東部、サハ共和国首都)、ブリャート(ロシア、シベリア南部の共和国)、モンゴルの順で高品質とされています。 ラファエルでは毛質を(1)ブラック、(2)ダーク、(3)ブラウン、(4)レッドの順で等級分けし、ラファエルのメイクアップブラシはほぼまっ黒な毛質(上記で言うブラック、ダーククラス)を使用しています。リスの毛は非常に柔らかくとても細いのでセーブルなどのような弾力は無く、その反面 パウダー等の化粧品の含みがとても良いです。メイクブラシ以外では水分の含みがとても良い為、水彩画筆としても使われています。
●Goat / ヤギ
ブラシに使われるヤギは中国長江(揚子江)のごく限られた地方に生息するヤギでその数も非常に少なく、貴重品とされています。 一般的にリス毛のつぎに柔らかいとされ、大きいブラシ(チークブラシ等)に使用されます。 ヤギの毛は雄,雌、部分によって数種類にも分けられ、それぞれ毛質が異なっているのが特徴です。
●Kolinsky / コリンスキー
赤テン(RED SABLE)の極上品をコリンスキーと呼び分けており、肉食目、イタチ科(MUSTELIDAE)に属します。ロシア及び中国東北部の極寒地に生息し、毛質は軟らかく強靭で弾力に富み、穂先の揃いが最も良く最高級品。 コリンスキーはイタチ科の中で最も毛足が長く、毛足が長い程価格が高くなります。例えば、5cmのものは2.5cmのものより6倍もし、重さで比較すると金塊と同じ位高価なものです。どの動物の毛も尾の先端ほど長く、量は極めて少量になってきます。故に、ブラシの大きさ(特に長さ)により、かなり価格の差があります。 毛質の特性は1本1本の毛の 中央部が最も太く、その中央部より毛先に近い程弾力に富み、毛根に近づくに従って劣ります。また中央部から上の部分に 向かって細さはより繊細になり、逆に毛根に向かって穏やかな細さになります。毛の形状がきれいな紡錘形をしておりバネのようなコシがあります。最良のものはコーカサス山脈産のもので品質順では西部、ムルマンスク(ロシア北西端のコラ半島にある港湾都市北部)北西部、ウラル(ロシア連邦のブリャート共和国首都)、カザン(ロシア西部、タタルスタン共和国首都)となります。 ロシアンセーブルは中国にも見られ、サハリン島の森林、モンゴル、朝鮮、千島列島にも生息します。 コリンスキーの特性は穂先のまとまりが良く、毛質が非常に軟らかいことで肌に密着し、肌触りが良く、刺激も無いので敏感な 肌に適しています。また軟らかいが適度なコシを持つため、リップ等の油分を含む化粧品にもご使用にいただけます。毛先の揃いが 良いのでコンシーラーやアイライン等の細部のメイクにも適しています。
●Red Sable / 赤テン
レッドセーブルと呼ばれる毛質は数種類あり、コーリアンセーブルやチャイニーズセーブルもその一つです。特徴はコリンスキーに似ていますが毛足が短く、毛先の揃いが若干落ちます。コリンスキーを含めてセーブルと総称する場合が一般的です。高価な毛質としても有名です。
●Badger / バジャー
コシが特に強く、毛元は粗く太いのですが、 毛先は非常に細くなっています。 アイブローブラシには最適とされています。
●Meloncillo(Egyptian Mongoose) / エジプトマングース
全体的にはマングースと特徴は同じですがマングースより毛が細く、柔らかいのが特徴です。マングース同様、日本では入手困難な毛質です。
●Pony / ポニー
メイクアップブラシ全体では最も多く使用されています。 リップブラシからパウダーブラシに至るまで、 幅広く適応できる便利な毛です。安価なブラシとして多種類のブラシで使用され、画筆としては勿論、メイクブラシでも使用されています。
一般的に下記のタイプに分類されます。
Round(丸):主にチーク等に使われている形状。乾いた状態ですと丸み帯びた形状になりますが、けさきを水に濡らすと左図の様に穂先が尖ります。エッジを効かせないグラデーションに適しています。
Round Pointed(丸細):穂先が尖っている丸の穂先。通常、アイライナー等の細いラインを引く時に適しています。ライナーは適度のコシのある毛質が良いとされ、コリンスキーや赤テン、ナイロン等が通常使われています。
Flat(平):平のブラシは主にリップブラシやシェイドブラシ、またアイシャドウやコンシーラー等にも使われる形状です。エッジの効いたラインがキレイに描けます。Flat Longフラットの穂先が長くなったタイプ。フィルバートロングよりもエッジを効かせたラインを引きたい時などに仕様されます。
Filbert(丸平):フィルバートのブラシは主にアイシャドウとして使われています。またフラットの様なエッジの効き過ぎないラインを描きたい場合にリップ等でも使われます。
Filbert Long(丸平ロング):フィルバートの穂先が長くなったタイプ。フィルバートよりも長いラインを使う時に面積が大きい分含みが良い為、重宝されます。ハイライトブラシ等、比較的大きめのブラシに仕様されています。
Slant(スラント):平を斜めにした形状。主にアイブロウブラシに良く使われます。ラファエルのアイブロウブラシは1本1本職人が平の穂先を手作業でスラントの形に整えます。Fan扇型のブラシ。パウダーを払ったりする際に仕様されます。
1793年にフランス、パリで創業。現在はブルターニュ地方サンブリューに本社屋があり、フランス文化庁の栄えある推薦を受けている世界最大のブラシ専門メーカーです。本場フランスではブラシ全体(画筆を含む)で約60%の市場占有率を誇っています。
ラファエルは2世紀以上もの間に培ってきた技術と独自のネットワークによって他社では入手困難な原毛を調達し、それを自社でドレッシング加工しています。同じ原毛でもドレッシング加工によって毛質に違いが大きく出ます。ラファエルでは自社で加工することによって妥協の無い完璧なドレッシング加工が可能です。また、刃物を一切使用せず、自然のままの毛先を生かして一本一本職人技によって作られるブラシは最高品質です。
